クリュイタンスの  ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」

ワーグナートリスタンとイゾルデ」(モノラル)
クリュイタンス指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団&合唱団(1956)
ゾルデ/ゲルトルーデ・グローブ
トリスタン/ルドルフ・ルスティヒ
ブランゲーネ/ゲオルギーネ・フォン・ミリンコヴィチ
クルヴェナール/トニ・ブランケインハイム
マルケ王/クルト・ベーメ
メーロト/ハンス・ブラウン
牧人/フーゴ・メイヤー=ウェルフィング
舵手/ハーラル・プレグルヘフ
牧童/ユリウス・パツァーク
クリュイタンス・コレクションである。
前奏曲は、アクセントの付け方、楽器間のバランスが独特で、通常盛り上がるところをあえて抑えたりして非常に個性的である。こんな「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲も初めて聴く。
本編に入ると、かなり速めのテンポの推進力抜群ながら、細部まで神経が行き届いている緻密な演奏である。
それでもあまり感動しないのは歌手陣のせいか。
ゾルデとブランゲーネは声量不足を絶叫で補っていて耳障り、トリスタンは高音が響かずだらしない歌い方、クルヴェナールは悪役声でさらにだらしない歌い方。マルケ王はまだましかと思いきや演技過剰。
これだけ歌手によって台無しになる「トリスタンとイゾルデ」も珍しい。ただただクリュイタンスがかわいそうである。