読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ジョン・ディクスン・カー「囁く影」 カーター・ディクスン「青ひげの花嫁」

ジョン・ディクスン・カー「囁く影」
「吸血鬼」となると、いつものカーの怪奇趣味と思いがちだが、時代の流れとともに、カーの作風も徐々に変わってきつつある気がする。
それは「皇帝のかぎ煙草入れ」もそうだったが、不可能犯罪のトリックが、より心理学的要因に重きをなしてきている感じ。
また「皇帝のかぎ煙草入れ」はミスディレクションであり「囁く影」は過去の殺人がからむ点からも、クリスティの影響があるのかもしれない。
しかし、これはこれで面白いし、展開はスリリングだし、犯人の意外性も充分。この時期の作品は最盛期におよばない、とのことだが、この作品は例外だろう。

 

カーター・ディクスン「青ひげの花嫁」
これも過去犯罪ものなのだが、実に独創的なプロットに感心する。
11年前の未解決の連続殺人事件(と思われる)を題材とした脚本が、舞台俳優の元に送られ、その結末をめぐって、女性演出家と言い争いになり、演出家は俳優に、旅行先で実際にその犯人のふりをして脚本どうりに演じて、脚本通りの結末の良し悪しを判断せよ、と持ちかける。そして、謎の人物が書いたその脚本には、警察が世間に公表していない事実が記されていた・・・・・
あいかわらず、いったいどこからこんなプロットを考え出すのだろう、と感心してしまう。
そして、犯人側からも探偵側からも二重三重の見事なミスディレクション、そしてあまたあるミステリーでの「意外な犯人」の中でも群を抜いた「意外な犯人」、これも傑作の一つであろう。