文化

マリオン・ジマー・ブラッドリーの未訳作品

海外ウィキペディアでマリオン・ジマー・ブラッドリーを調べたら、現在邦訳のある「ダーコーヴァ年代記」シリーズ「アヴァロンの霧」「ファイアーブランド」「聖なる森の家」以外にも、大量の未訳作品がある事を知った。 ざっと見ただけでも、邦訳は全体の3…

アヴァロンの霧 1 異教の女王(1983)

マリオン・ジマー・ブラッドリー 以前にも書いたが(こちら)アーサー王伝説を、キリスト教対ドルイド教の観点から再構築したこの作品をやっと読み始める。(読み始めたばかり) フェミニズムの観点から語られる事も多いようだが、考えてみれば、キリスト教…

落日の剣 真実のアーサー王の物語

ローズマリ・サトクリフ(1963 翻訳 2002) この本も長らくつん読状態だったが、アーサー王関連再読の勢いを借りて、やっと読みはじめる。 私は、政治的、宗教的な要求によって成り立った、いわゆる「中世騎士物語」としてのアーサー王伝説には興味がない。 …

図説 アーサー王の世界(1995 翻訳 1997)

デイヴィッド デイ 随分久しぶりに読んだ。 多くのバラエティがある「アーサー王伝説」を構成するさまざまなコンテンツのルーツ、変化する時代からの政治的、宗教的要求による内容の変遷、そして実世界への波及を、豊富な図版とともにわかりやすく説いてくれ…

「トリスタンとイズー」からいろいろ

日記には書いていないが、最近はけっこう読書三昧である。 「トリスタンとイゾルデ」の原作である「トリスタンとイズー」を我々が読もうとするなら、まずは岩波文庫のジョゼフ・ベディエ編「トリスタン・イズー物語」であろう。 多くの異本、断片を一つにま…

「エクスカリバー」と「トリスタンとイゾルデ」

最近ネット上で「トリスタンとイゾルデ」の元になった「トリスタンとイズー」伝説について、いろいろと見ていたのだが。 トリスタンとイズーの逃避行の時、森の中に潜んでいたのだが、森番の密告によりマルク王がそこを訪れると、二人は抜き身の剣を間に挟ん…

反音楽史(2004 文庫化 2010)

石井宏 今までの音楽史は、ドイツ人によって書かれた、「音楽形式の完成」(という一面的な価値観)への道のりであり、それに関与した(捏造を含めて)ドイツ人のみを神聖視し、それ以外の存在を意図的に無視することによって形成された、そういう観点から書…

ギービヒ家の三兄妹の謎

「神々の黄昏」には、ジークフリート、ブリュンヒルデに加えて、ギービヒ家の三兄妹が登場する。 当主グンター、異父兄弟の弟ハーゲン、妹グートルーネで、グンターとグートルーネが同父兄妹である。ハーゲンは「ラインの黄金」でヴォータンに「指環」を強奪…

「ウニ」の方言

教育テレビ「シャキーン」で方言をとりあげることがあるが、岩手の沿岸地方では「ウニ」のことを「カゼ」というそうだ。寡聞ながら知らなかった(汗) で、なんで「カゼ」というのか、ネットで調べても良くわからない。 しかし、「ウニ」の種類に「ガンガゼ…

直実節

ケンミンショーで埼玉は熊谷市では小学校の運動会で「直実節」を踊る、と言う話題をやっていた。 私は元埼玉県民であるが、南の方なのでこれは知らなかったが、熊谷直実という平安〜鎌倉時代の武将が意外に知られていないのはショックだった。 だって平敦盛…

クイズ

昨日のクイズ番組、美人がテーマということで 「戦国時代一の美女」「織田信長の妹」までヒントがでていて、正解者がほとんどいないというのもなんだかな〜と言う気がするが「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿が百合の花」 も、ほとんど正解がなかったのはショ…

ブルンヒルド

以前にクナッパーツブッシュの「ニーベルングの指環」を聴いたとき、物語の背景や、元になった「ニーベルングの歌」についてもけっこう調べた。 ヒロインと言っていい「ブリュンヒルデ」は「ニーベルングの歌」の「プリュンヒルト」であり、さらに「プリュン…

日本人の知らない日本語 日本人の知らない日本語2

蛇蔵&海野凪子 奥さんが、娘の同級生の母親から借りてきて「面白かった」と言っていたが、その時読めなかったので買ってしまう。 日本語学校の生徒(当然外国人)からの、日本語に対する素朴な疑問から、逆に我々日本人があたりまえと思ってしまっている日本…

杉浦日向子の江戸塾

江戸をテーマにした、宮部みゆき、北方謙三らそうそうたるメンバーとの対談集。 彼女の書く江戸をテーマにした書籍は、ある意味大同小異なのであるが、高橋克彦氏との「その日ぐらし」でもそうだったが、対談集のほうが、対談相手のそれぞれの個性にしたがっ…

ゑひもせす

杉浦日向子 この間「全集で揃えたい」と書いておきながら、早く読みたいのと懐具合の関係で、文庫のユーズドで揃え始めてしまった(汗)初期作品集である。 実は、杉浦さんの漫画は、ずっと気になっていたものの、前述の「百日紅」「風流江戸雀」と「百物語…

風流江戸雀

杉浦日向子 これもいつの間にか手元に無くなっていたので買いなおす。古川柳の漫画化であるが、いうほど単純ではない。 4ページに対し川柳が二句選ばれていて、その二句が、短い漫画のストーリーの起承転結の、ちょうど「起」と「結」にあたるように、実に…

日本人の姿勢

子供の頃、テレビでハリウッド映画などで、ウェストサイド・ストーリー的ないわゆる不良同士の喧嘩のシーンで、なぜか違和感を感じた覚えがある。 それは何かというと、互いにナイフを持っている場合、極端に腰を引き、ナイフの切っ先だけを前にだすという「…

若者の「離れ」

先日もTV番組で、若者の「離れ」いわゆる「車離れ」や「ブランド離れ」について取り上げていた。 番組でも言っていたが、若者は「離れ」ているわけではなく、初めからくっついていないのであって、「車」や「ブランド」に血道をあげていた時代が異常だった…

土に点

先日奥さんが、ニュースに出てきた人名について、「土に点なんて漢字あるの?」と聞いてきた。 画面を見てみると、土の右、上下の線の間に点がある漢字+方で「ひじかた」という苗字だった。 「ひじかた」といえば普通「土方」だよなあ、と思いつつ調べてみ…

百日紅(さるすべり)

杉浦日向子 単行本時代所有していたはずだが、いつの間にか手元に無くなっていた。いつもの事ながら懐かしくなって購入。 北斎と娘のお栄、善次郎(のちの英泉)を中心とした話であるが、歌川派の国直、国芳も登場する。 設定はほぼ史実に沿っているが、出戻…

ばほめかす

うちの奥さんが、娘が寝る時に布団を蹴り上げたり手で持ち上げたりして騒いでいると「ばほめかさない!(もしくは、ばほばほしない!)」と注意している。 娘に「方言だから他県では使わないようにね」と言うと、奥さんが「標準語では何と言うのか?」と聴い…

ニュー・ワールド (2005)

監督 テレンス・マリック コリン・ファレル:ジョン・スミス クオリアンカ・キルヒャー:ポカホンタス クリスチャン・ベール:ジョン・ロルフ ポカホンタスについて色々と見ているうちに、この映画がひっかかた。 調べてみると、相変わらず虚構に過ぎないポ…

「ポカホンタス」と「ポカホンタス2」

ディズニーアニメ「ポカホンタス」は、どうせ、白人優位主義の脚色がなされた作品だろう、と勝手に思ってまったく興味がなかったのだが、最近またインディアン関係をいろいろと調べていくうちに、このロマンスは関係者がすべて亡くなった後に(この映画のポ…

「おんな北斎〜天才浮世絵師は、二人いた!」

先日、録画しておいたものを見る。 北斎にお栄という娘がいて、やはり絵を書いていたことは知っていても(葛飾応為)実際、彼女が書いた絵を見る機会は今まで無かったが、こんな、一目で天才性がわかるすごい作品を残していたとは知らなかった。 吉原格子先…

海外のノンフィクション

先日書いた、ある民族のたとえ話に関連することなのだが、多分20年ぐらい前、図書館で海外のノンフィクションものを借りた。 記憶が本当にあやしいので(なので、ネットで色々と調べたがわからなかった)おぼろげな表現しかできないが、(たぶん)白人の女…

差別の話

宇宙人でも何でもいいが、ある日突然、人類よりはるかに高度な科学力を持った生物が宇宙からやってきて、あっという間に地球を征服したとする。 その生物が言うことにゃ。 「私たちの食物は、お前たちの肉である。家畜として繁殖させるので、お前たちの種は…

北森鴻

ミトン様に教えていただいたが北森鴻が48歳の若さで亡くなった。「編集プロダクション」時代の無理がたたったんだろうか。せっかく去年から本格的に読み出したのに。まだ未読もあるが、それが終わったらもう読めなくなるということか。 「蓮丈那智フィール…

パパラギ―はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集

(1920 日本版 1981) 出版当時読んでいたのだが、タイトルを忘れ、あまつさえインディアンの酋長だったかしらと思い込んでしまい、そっち方面ばかり調べていたので、まったくたどり着くことができなかったのだが、最近パッとタイトルが「パパラギだった!」…

「原人イシの物語」(1975)

手塚治虫 講談社 手塚治虫漫画全集 タイガーブックス 2 先日、読みたいと書いたが、幸いにして古本屋にあったのでいそいそと購入。 クローバー博士と並んで、イシの最も親しい友人だったウォーターマンに「ロック・ホーム」のキャラが与えられ、それに伴い、…

イシ-北米最後の野生インディアン

シオドーラ・クローバー 追々感想を書くと書いたが、何をどう書いても正しい感想を伝えられる自信が無い。 ただただ、一人でも多くの人にこの本を読んでもらいたい、それだけである。 内容や読んだ人の感想は、ネット上ではいろいろと書かれているので、そち…