ブルックナー 交響曲第8番

クナッパーツブッシュ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団(1963)改訂版(2001年リマスター)
現在日本盤として出回っているクナのブル8は、1997年のリマスター盤であるが、本家ウェストミンスターから2001年にリマスター盤が出ているとは知らなかった。
ネット上では賛否両論で、「人工的なエコーの付加で、せっかくデッドな録音が売りだった名演が台無し」という否定論がある一方、1997年盤に飽き足らなかった人々の絶賛の声もある。
先日の件(こちら)もあるので、どうしても聴いてみたくなり、ユーズドで購入。
告白すると、今週はティントナーを聴いた事になっているが、実は日曜までに聴いたもので、月曜からずっとクナのブル8を、2001年盤、1997年盤、1989年盤を1楽章づつ順番にじっくりと聴いていたのだった。
さて、2001年盤のエコーは、言われるほど不自然ではない。1997年盤ほど弦が不自然に前面に出てきていないのもいい。しかし、全体に音が柔らかくなっていて、美しいことは美しいが、音の芯がぼやけてダイナミズムに欠ける点が若干ある。初めて聴く人は問題ないだろうが、アナログの記憶がある人は美しすぎて「これがクナ??」と思うに違いない。
1997年盤は解像度は抜群だが、前にも書いたとおり弦が前面に出すぎているがゆえに、その弦のあらも目立つ。
結局多少音は悪くても(というほど悪くはないのだが)1989年盤が各楽器が程よく調和して、一番安心して聴ける。
20ビットカッティングとか、よくわからないが、デジタル・リマスターにして音を良くする事に、本当は意味があるのだろうか・・・・と考えさせられる。(そもそもコンサートでオーケストラを聴いた時に、デジタル・リマスターのような音では絶対聴こえてこないと思うのだが)
旧CDは再発されないだろうから、初めて聴く人にはあえてどちらをとも勧めないが、それぞれに上記のような特色があることをご承知おきいただきたい。
オークションかなんかでアナログ盤を入手して確認するしかないかなあ・・・・
しかし、これほど問題になっているのなら、前は無いと書いたが、LPおこしのCDも出てくるかもしれないなあ・・・


PS.前にも書いたが、あくまでヘッドホンで聴いた上での感想なので、スピーカーで聴くとまた違うのかもしれない事をお断りしておく。