ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲と愛の死」

ウェルザー=メスト指揮 クリーヴランド管弦楽団(2010)

ウェルザー=メストのワーグナーは、いずれウィーン・フィルとの録音が発売されてから、と思っていたのだが、dianaseals さんの娘さんが、来日したウェルザー=メストの「前奏曲と愛の死」のリハーサルを聴いたというお話があって(こちらのコメント欄)ちょっと我慢がならなくなって(笑)ウィーン・フィルの音楽監督就任直前(音楽監督を務める最後のシーズンか?)クリーヴランド管弦楽団とのライブを輸入盤でお安く購入。とりあえず「前奏曲と愛の死」のみ聴く。
「前奏曲」思ったほど速くはない。クライバーの破滅前の緊迫感、他の指揮者の人間世界のエロティシズムとも違って、なんとウェルザー=メストは天上の音楽として「トリスタン」を演奏している。トリスタンもイゾルデも全ての悩みが解消して、天上で安らいでいるかのような音楽である。どこまでも透明で美しく、カンタービレも人間の歌ではなく天使の歌だ。
「愛の死」で若干テンポがあがり、なんと天使が踊り始めたかのような軽やかさである。確かにこんな「トリスタン」は今までなかったかもしれない。抵抗がある人もいるかもしれないが、演奏会用演奏なのだから、こういう解釈もありだろう。

ちなみに邦題と収録曲は以下の通り
ワーグナー:前奏曲&序曲集、ヴェーゼンドンク歌曲集

1. 「リエンツィ」序曲
2. 「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲とイゾルデの愛の死
3. 「ローエングリン」第3幕への前奏曲
4. 「ローエングリン」第1幕への前奏曲
5. 〜9. ヴェーゼンドンク歌曲集
ソプラノ ミーシャ・ブルガーゴーズマン
10. 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
11. 「ワルキューレワルキューレの騎行
バンクーバー・オリンピックで歌ったミーシャ・ブルガーゴーズマンの名前があったので、てっきり「愛の死」でも歌っているかと思ったら、ヴェーゼンドンクのみだった。