エドゥアルト・ファン・ベイヌムのブルックナー

エドゥアルト・ファン・ベイヌムブルックナー
郊外のショッピングセンターのタワレコで、見慣れぬ指揮者のブルックナー(5 7 8 9)を見かけて(モノの廉価だったし)衝動買いしてしまう。
帰宅して調べたら、メンゲルベルクに請われてアムステルダム・コンセルトヘボウ(現 ロイヤル・コンセルトヘボウ)の跡を継ぐものの1959年のリハ中の心臓発作で57歳の若さで亡くなったとのこと。知らなかったなあ。
マタチッチの2歳下、コンヴィチュニーと同い年、ヨッフムの1歳上である。
それを考えると、長生きしていたらもっともっと活躍できたんだろうな、と思わせる。
というわけで、録音順にまず7番から聴く。


ブルックナー 交響曲第7番
ベイヌム指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1953)
版は記されていないが、第2楽章クライマックスにシンバルが入るのでノヴァーク版と思えるが、ノヴァーク版の出版は1954年なので、いわゆる改訂版かもしれない。
全体的な所要時間はレーグナーに近いが、レーグナーのように全体的に速いのではなく、テンポの差はかなり大きい。しかしアッチェレランドやリタルダンドによるテンポの変化ではなく、ブロックごとに速かったり遅かったりするので、改訂版の楽譜の指定かもしれない。ということで、ブルックナーでやってはいけないテンポの変化としては、ぎりぎり許容範囲。それ以外の部分があまりにも良いので、テンポの変化で切り捨てるにはあまりに惜しい演奏。


ブルックナー 交響曲第8番
ベイヌム指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1955)
こちらも版は記されていないが、ノヴァーク版が1955年出版だが、演奏を聴く限り明らかにハース版である。
マスター・テープの状態のせいか、LP復刻なのかほんのわずかに高音の雑音が入るのが惜しい。
7番と違って、全体に均一にテンポが速めで、速めのテンポのコンヴィチュニータイプ。つまりは、ブルックナーは楽譜どおりに、と良く書くのだが、杓子定規に楽譜通り、ということではなく、楽譜に書いてある音楽を素直に感じ取って、そのまま素直に表現する、という意味なので、そういう意味では早めのテンポのブルックナーとしては、最上級に理想的で、これがステレオだったら、シューリヒトやレーグナーを凌駕して、遅めのテンポの横綱であるクナッパーツブッシュと速めのテンポのブル8の代表としてトップを争ったかもしれない名演と言える。