ミステリー

リアル「時の娘」

リアル「時の娘」以前、ジョセフィン・テイの「時の娘」について書いたことがあったがhttp://hakuasin.hatenablog.com/entries/2011/01/24昨日のテレビで、なんとそのリチャード3世の骨が発掘された、という話題をやっていた。2012年の事らしい。これがきっ…

中津文彦「義経の征旗」

「義経の征旗(旧題:秀衡の征旗)」(1998)中津文彦「政宗の天下」と同様、藤原秀衡が決起していたら、というシミュレーション小説。http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2013/04/08新書版の「秀衡の征旗」で一度読んでいるが、文庫の「義経の征旗」が…

中津文彦「政宗の天下」

政宗の天下(1996~1997)中津文彦若い頃、さかんに歴史ミステリーを読んでいた時期があったが、中津さんの作品は他の作家にくらべて地味で面白味が少ない、という印象があった。いわゆるミステリーにつきものの、名探偵役が快刀乱麻のごとき名推理を見せる…

中津文彦 邪馬台国の殺人

邪馬台国の殺人(2002)中津文彦邪馬台国の謎に迫るミステリー系は、けっこう出尽くした感があるが、これは意表を突かれた。一般に偽書と言われる古史古伝には、神武天皇の父とされるウガヤフキアエズの命の名を冠したウガヤ王朝が数十代続いた、という共通…

秘刀

秘刀(1995)中津文彦後三年の役を舞台とした、日本刀の発祥をめぐる物語。蝦夷の蕨刀の存在から、湾刀である日本刀は蝦夷発祥であるという設定。以前書いた「みちのく王朝謀殺事件」と同様http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2013/02/24/084625高橋克彦…

「消えた義経」と「義経不死伝説」

消えた義経(1994)義経不死伝説(2012)(「義経はどこへ消えた?(1996)」加筆再編集)中津文彦「消えた義経」は独立した作品だが「闇の弁慶」の続編としても読める(キーマンは西行法師)そして「闇の弁慶」と同様「義経不死伝説」の第2部以降が、その理…

「闇の弁慶」と「義経不死伝説」

闇の弁慶(1990)義経不死伝説(2012)(「義経はどこへ消えた?(1996)」加筆再編集)中津文彦「闇の弁慶」は保元の乱、平治の乱から打倒平家の源氏の蜂起までの流れを大胆に解釈したもので、「義経不死伝説」の第1部は、その理論的根拠とも言える。中津さ…

中津文彦 みちのく王朝謀殺事件

中津文彦 みちのく王朝謀殺事件一時期、歴史ミステリーを盛んに読んだ頃があって、高橋克彦さんやら、井沢元彦やらと共に中津文彦も何冊か読んでいて、ふと懐かしくなって中古でいろいろと買って読んでいるのだが、この作品は知らなかった。主題は平泉藤原三…

QED ベイカー街の問題

QED ベイカー街の問題(2000)高田崇史QED シリーズの第3作である。私はけっしてシャーロッキアンではない。しかし、ホームズについてのあれやこれやの議論的な事は大好物である(笑)なので、こういう作品は見逃せないな。

カンナ 奥州の覇者

カンナ 奥州の覇者高田崇史カンナ・シリーズ第4作目のテーマは「アテルイ」である。東北人としてはわくわくするのだけれど、カンナ・シリーズを読み始めるにあたって、いろいろとネットで見てみたのだが、ある人のブログに感想が書いてあって、それに対する…

カンナ 鎌倉の血陣

カンナ 鎌倉の血陣高田崇史本屋で見かけて、好物である歴史ミステリーの香りがしたので買ってみた。読んでみたらシリーズ9作中6作目にあたり、シリーズ通してのテーマもあるようで、これは全巻買わねばならんではないかっ(笑)頼家、実朝が北条政子の実子…

完四郎広目手控4 文明怪化

完四郎広目手控4 文明怪化 (文庫化 2010) 高橋克彦 油断をしていたら、高橋克彦さんの作品がけっこう文庫化されていた(その3) 完四郎シリーズもとうとう明治維新の時代に突入。 今回は高橋さんのファンならお馴染みの「新聞錦絵の世界」でも紹介されてい…

蘭陽きらら舞

蘭陽きらら舞 (文庫化 2011)高橋克彦油断をしていたら、高橋克彦さんの作品がけっこう文庫化されていた(その2)こちらは、ぶれの無い、いつもどおりの「だましゑ」シリーズ(こちら)シリーズのファンの期待を裏切らない出来。ちなみにシリーズ最新作「源…

「南朝迷路」のドラマ化?

塔馬教授の天才推理:隠岐島の黄金伝説殺人事件本屋で高橋克彦さんの「南朝迷路」の帯を何気なく見たら、佐々木蔵之介主演でドラマ化とあった。ええ!?っと思ったが、既に6月に放映済みだった。全く気付かなかった。タイトルも全然違うし!ぷんぷん。

おやすみなさい、ホームズさん (アイリーン・アドラーの冒険)

キャロル・ネルソン・ダグラス(1990 翻訳:2011) 本屋の店頭でまた気になるものを見つけてしまった。 原題は"Good Night, Mr. Holmes"で、ホームズファンならぴんとくるであろうが、(翻訳によっては「こんばんわ、ホームズさん」等となっているが)かのア…

サクソンの司教冠(1995 邦訳:2012)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第7弾であり、シリーズ第2作である。3月10日に出たてのほやほやである。これで、長編は初期の5作品の邦訳が終わったことになる。これからはシリーズの順番どおりに翻訳されるのであろう(た…

少年探偵団読本(1994)

先日の「江戸川乱歩に愛をこめて」の「怪人明智文代」の解説でこの本について(明智文代ついての新説が載っているとの事で)触れていた。寡聞にして知らなかったので、あわててユーズドで購入。江戸川乱歩の「少年探偵団シリーズ」の解説、研究本である。 各…

江戸川乱歩に愛をこめて(2011)

というわけで(こちら)読みおわる。 さすがに読み応えのある作品揃いだが、大槻ケンヂの「怪人明智文代」が面白かった。 抱腹絶倒の部分あり、深いえぐりこみあり、なかなかに考えさせられる。 小説家としての大槻ケンヂには、まったく興味が無かったのだが…

死をもちて赦されん(1994 邦訳:2011)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第6弾であり、シリーズ第1作 舞台はブリテン島、解説によると第2作の舞台はローマ、つまり「古代アイルランドを舞台としたミステリー」という謳い文句からすると、邦訳が第1作からでは読者が…

江戸川乱歩に愛をこめて(2011)

以前「「乱歩の幻影」というアンソロジーについて触れた事があるが(こちら)その続編的なアンソロジーが光文社から出ていた。 そこでも触れた高橋克彦さんの「悪魔のトリル」も、めでたく収録されている。 以前、芦辺拓の「明智小五郎対金田一耕助」に収録…

修道女フィデルマの洞察(2000 邦訳:2010)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第5弾であり、「洞察」と同様にシリーズ第9作の短編集の15作から5作をを訳出したもの。残りの5作もいずれ邦訳される事を望む。 「修道女フィデルマ・シリーズ」は短編から始まったと以前書…

自分の殺害を予言した占星術師(2004 邦訳:2006)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ」シリーズの短編であるが、アン・ペリー編「ホロスコープは死を招く」という占星術がテーマのミステリー・アンソロジーに収録されている。本来はシリーズ第14作の"Whispers of the Dead"という短編集に収録されてい…

蛇、もっとも禍し(1996 邦訳:2009)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第4弾であり、シリーズ第4作 ある修道院の飲料水をくみ上げる泉から、若い女性の首なし死体が、調査に向かうフィデルマは船旅の途中、無人の大型漂流船に遭遇するが、その船上で彼女が発見した…

修道女フィデルマの叡智(2000 邦訳:2009)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第3弾であり、シリーズ第9作の短編集の15作から5作をを訳出したもの。シリーズ第9作とはいえ、シリーズは長編の前に短編から始まっているので、シリーズのルーツともいえる。 短編でも犯人…

幼き子らよ、我がもとへ(1995 邦訳:2007)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第2弾(シリーズ第3作)である。 前回の「蜘蛛の巣」が、なぜ邦訳の第1弾になったかというと、たぶん当時のアイルランドの一地方を舞台にしているために、当時のアイルランドの社会の仕組みの…

蜘蛛の巣(1997 邦訳:2006)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第1弾(シリーズ第5作)である。 本来「修道女フィデルマ・シリーズ」を読むために、トレメインの最初の邦訳「アイルランド幻想」(こちら)を読んだはずなのに、読んだら他の怪奇・幻想小説を…

ピーター・トレメイン

最近古本屋で「修道女フィデルマ・シリーズ」なるものが目に入って、何か気になっていた。 たまたま別の本屋で「修道女フィデルマの叡智」「修道女フィデルマの洞察」という短編集が2冊ともあったので、とりあえず買ってみた。 そして、家に帰って作者につ…

最近の個人的な読書事情

先日「ディクスン・カー(カーター・ディクスン)を再読する」と書いたのだが(こちら)初期のアンリ・バンコラン、そしてギデオン・フェル博士、ヘンリ・メルヴェル卿を2冊づつ読んで、どうもあまりわくわくしない(ロマンスがあると別だが)パタ−ンもなん…

アンリ・バンコラン(とパタリロ)

ディクスン・カーの初期作品の探偵「アンリ・バンコラン」は以下のように描写されている。 鉤型眉毛の下の垂れ下がったまぶたはいたずらっぽさと寛容を同時に示し、目は暗いヴェールをかぶった光をもつ。鼻は肉の薄い鷲鼻で、鼻の左右から口もとまで深いしわ…

「シャーロック・ホームズの災難」

エラリー・クイーン編 ちょっと前に、ホームズのパスティーシュをいくつか読んだ話を書いたが、エラリー・クイーンが編集したこの「シャーロック・ホームズの災難」もその筋では有名らしい。 が、前回見送ったのはこのタイトルがどうも気にくわなくて(笑) …