J.シュトラウス2世 喜歌劇「こうもり」(1972)

ベーム指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
グンドゥラ・ヤノヴィッツ、エバハルト・ヴェヒター、ヴォルフガング・ヴィントガッセン、エーリッヒ・クンツ
映画であるが、ヤノヴィッツと聴いては放ってはおけない。こちらも豪華キャスト。クンツがやはり刑務所長のフランク役である。当たり役なのだろう。ヴェヒターはクライバー盤でもアイゼンシュタインで、ちょっと年齢を感じさせたのだが、(1992年没)さすがに1972年なので未だ若々しくフェロモン満載。(個人的にはヴァイクルをとるが)演出はやはりシェンクだが、牢番役でも出演。老いたりとはいえワーグナーの名ヘルデン・テノール、ヴィントガッセンも贅沢だ。そもそもこのオルロフスキーという役は、初めから男女どちらが演じてもいい、という珍しい役柄で、ファスベンダーのズボン役のイメージが強いこの役を名テノールが怪演。一見の価値ありか。
ベームの指揮は若干遅めのテンポで、クライバーに比べて物足りないと言う意見もある。確かにオペレッタとしての軽やかさには欠けるかもしれないが、その分細部まで音楽が楽しめるし、ベームの指揮ではじめて、ああここはこういう音楽だったのか、と分かる部分もある事も確か。余計な映画的演出が無いのも好感が持てる。ヤノヴィッツは相変わらず凛とした高音が私の大好物なので、やはり惚れ惚れ。
しかし最愛のリリコ、ヤノヴィッツとポップの同じ役の映像を見れるなんて幸せだな。