ドナ・サマー「ワンダラー」(1980)

ドナ・サマー(&モロダー&ベロッテチーム)の、カサブランカから設立したてのゲフィン・レコードへの移籍後第1弾である。
80年代に入って音楽状況の変化に合わせたのか、カサブランカ時代のディスコ・クイーンのイメージの払拭をはかったのか、ディスコにこだわらない、幅広いジャンルの曲で構成されている。完成度は高いが、もはやあの「アナログ片面ノンストップ疾走ディスコ」といったモロダー・マジック的魅惑は既に無く、普通の良質なソウル系ポップスのアルバムになってしまっているのが、個人的には物足りない。
以前、このアルバムの売れ行きにゲフィン・レコードの社長が満足せずに、次のアルバムのプロデューサーを無理くりクインシー・ジョーンズに替えた、という事を書いたが、実際にはビルボート13位、シングル「ワンダラー」は3位だから、そんなに悪かったわけではない。どうも当時のゲフィン・レコードの財政事情から、本来ならもっと売れるアルバムを作って欲しかった、といった事らしい。