夢のラウド F・マクラウド/W・シャープ幻想小説集

というわけで、図書館から借りてきたので優先的にこちらを読了した。
「暗き名もなき者」では海の魔女キルステエン・マクヴリヒがアダムの最初の妻とあった。昨日、アダムの最初の妻ともいわれる魔神リリスについて書いたばかりでなのでびっくりした。
クラウド名義でもケルト色が無いものもあり、中編「聖なる冒険」は一人格の「魂」「躰」「意思」が独立した人格を持ち、互いに会話(議論)しながら旅に出るという、象徴主義なんだか哲学なんだか、それにしても若干ユーモラスもあるしこれは不思議な小説。
シャープ名義もなかなかに読みごたえがあり中編「ジプシーのキリスト」はなんとワーグナーの「パルジファル」のクンドリ(十字架上のキリストを嘲笑した罪で死ぬことを許されず贖罪しつづけている女)は実在しかつキリストの妹であり、その血筋が現代(執筆当時の)まで続き、その子孫に対する連綿たる呪いの有様は、以前ラヴクラフトの書く古代宇宙史に対し「頭がグラグラするような」と書いたことがあるが、それに近いものを感じる。ネタバレになるのでこれ以上書かないが、エドガー・アラン・ポーも真っ青なこの小説がこれまで未訳だったことが信じられない。
この本はハードカバーの分厚い本なのでそれなりにお高いのだが、これは手元に置いておきたい(「聖なる冒険」は理解できるまで何回か読み返したい)ということで「かなしき女王 」と共に注文してしまった(汗)