小説

西の魔女が死んだ(1994 文庫化:2001)

梨木香歩 先日書いた(こちら)サチ・パーカーが出演する映画の原作である。 本当に寡聞にしてまったく知らなかったが、意外に(といっては失礼だが)スピリチュアル的なことがしっかり書かれてある。それも全く押し付けがましくないのが驚異的でる。スピリ…

「海に在る魂」「渚の求婚」

モンゴメリ 同じ元本の、例のテーマ別短編集で、テーマは「海」。ニュー・モンゴメリ・ブックスの項番では「渚の求婚」の方が先だが、解説によると「海に在る魂」の方が元本の前半の訳出らしい。 「ジェシー小父さんの生活手帳」はまさに「アンの夢の家」の…

影の谷を超えて

モンゴメリ 前回、テーマの一つが「犯罪」と書いたが、どちらかと言えば「罪への赦し」かもしれない。 敬虔なキリスト教信者の顔をしていながら「七の七十倍まで赦せ」という教えを守りもせず、裁きと中傷に満ちた人々、そこからは何の救いも生まれてこない…

完全版 怪人二十面相・伝

北村想 というわけで(こちら)久々に読む。 二十面相の立場から「少年探偵団シリーズ」を語ることで、子供向け作品として一種の夢物語になっている「少年探偵団シリーズ」が、なんと切なくも生々しいリアリティをもって迫ってくることか。 前にも書いたが、…

ひそやかに影はささやく

モンゴメリ これも「影の谷を超えて」と共に元は1冊で、いわゆるテーマ別編集のシリーズで、テーマはたぶんオカルト(とミステリーもしくは犯罪)モンゴメリは牧師の妻でありながら、キリスト教の範疇を超えた、一種ケルト的超自然思想をもっていた、という…

ルーシーの約束

モンゴメリ ニュー・モンゴメリ・ブックスの1冊。「赤毛のアン」発表前から「アンの幸福」発表前あたりに雑誌で発表された短編をまとめたもの。(1899〜1935) 「エミリーの夫」では、多少わがままに育った娘が、嫁ぎ先の姑と折り合いが悪く、夫への愛情も…

アンの村の日々(正・続)

モンゴメリ ニュー・モンゴメリ・ブックスである。 この短編集については以前にちらっと書いた(こちら) モンゴメリの死後未発表原稿が発見されて編まれた作品群だけあって、単にブライス家が出てきて懐かしい、といった言葉では片付けられない、一筋縄では…

完全版 怪人二十面相・伝

北村想 北村想の「怪人二十面相・伝」と「青銅の魔人」については以前書いた。(こちら) 相変わらず「青銅の魔人」は文庫になる気配が無いので、そろそろユーズドで購入かな、と思っていた矢先、古本屋で上記の本をみつけた。完全版と銘打ち「怪人二十面相…

時の果実

モンゴメリ 「時の扉の向こうには」の続編である。 「あのひとの夢のために」という作品がある。 念願の女性にプロポーズした男性が条件付で承諾を得る。その条件とは16年前に別れその後西部で事故死した元の彼氏への思いは無くせないということ。当時彼女の…

3カ月トピック英会話〜『赤毛のアン』への旅・原書で親しむAnneの世界

プリンス・エドワード島へ本土から橋がかかったという。複雑な心境。

続アンの仲間たち

モンゴメリ こちらは前作より短い作品が多い。たぶん雑誌掲載時の枚数制限によるものと思われる。短くなるとご都合主義が目立つ結果になってしまうが、それでもいいのだ(笑) 「ミス・サリーのお客」という作品の前半は「アンの青春」でアンとダイアナがミ…

時の扉の向こうには

モンゴメリ 「ニュー・モンゴメリ・ブックス」からの1冊。これも続編がある。 こちらは、長い時の流れを間にはさむ物語が集められていて、「アンの友達」や「アンをめぐる人々」にも同一テーマの作品が多いので印象が近い。しかし、「アンの友達」や「アン…

アンの仲間たち

モンゴメリ 篠崎書林から発行されている、いわゆる「ニュー・モンゴメリ・ブックス」は以前ちらっと書いた(こちら) 「アンの村の日々」等を含み、どうしてもそろえたいのだが、ある短編集の正、続が片方だけ入手不可だったりして買うのを躊躇していた。し…

3カ月トピック英会話〜『赤毛のアン』への旅・原書で親しむAnneの世界

今年1月に「ようこそ!赤毛のアンの世界へ」と言う番組があり、それが4月からはじまる番組の番宣であることは以前書いた(こちら) しかし、すっかり忘れていたために第1回を見逃してしまったが、昨日1週間遅れの再放送を録画する事ができて、ほっと一安…

青い城(The Blue Castle:1926)

モンゴメリ 「赤毛のアン」シリーズ以外のモンゴメリの作品は意識的、無意識的に避ける傾向がある。身勝手だがあの世界を崩されたくないのかもしれない。しかしこの作品は大人向けの作品とのことで、ネット上の評判も(ある意味)大変いい。ので、ユーズドで…

翻訳ものの原語での言い回し

翻訳ものの小説を読んでいると、たまに「この部分は原語ではどんな言い回しなのだろう」と思う事がある。 モンゴメリの「アンをめぐる人々」の「ベティの教育」というのは、かつての思い人の娘の教育係を買って出た裕福な中年男がその娘と結ばれるという、あ…

完全版・赤毛のアン(1908)

ルーシー・モード・モンゴメリ 翻訳:山本史郎(1999) その1 今までちらちら話に出ている完全版であるが、とりあえず本文では無く、解説と付録を読む。 解説(マーガレット・アン・ドゥーデイ)には、アンがアヴォンリーへやってくることにより、旧態然た…

アンの村の日々

ルーシー・モード・モンゴメリ この本は昔から気になっているのだが未読である。なかなか書店に出回らないし、文庫にもならない。 (詳細はウィキペディアでどうぞ) ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%9D%91%E3%81%AE%E6%97%A5%E…

赤毛のアン(1908)

ルーシー・モード・モンゴメリ 翻訳:松本侑子(1993) 久々に読み返している。 松本侑子訳で読むと、村岡花子訳は今でも読み継がれている名訳なのだが(若干の省略あり)やはり「赤毛のアン」を当時の日本の少女に受け入れやすいような雰囲気を意図的に作っ…

「バーディ」という映画

知らない事は多いもので、以前ピーター・ガブリエルが音楽を担当した「バーディ」という映画について書いた(こちら) この映画には原作があるそうで、かなりヒットしたカルト小説(矛盾か?)で作者はウィリアム・ウォートン、出版は1978年、しかし邦訳は無…

「少女ポリアンナ(パレアナ)」「ポリアンナ(パレアナ)の青春」

久々に読んでいるが、手元にあるのは村岡花子翻訳(パレアナ)だが、最初に読んだのは偕成社(ポリアンナ)である。(やはり最初に読んだものの方が訳文がしっくりくる) この作品も今や原作よりはアニメの方で有名だが、アニメは「〜青春」までのストーリー…

あだこ(収録:おごそかな渇き)

山本周五郎 新潮社の山本周五郎の文庫は、年代別とがジャンル別というくくりではなく、どれをとっても山本周五郎の書いた全てのジャンルが網羅されるように編集されている。再び読み直しているのだが、年のせいかあまり重たいものは読みたくないので、自然と…

日日平安

山本周五郎 2000年ごろ、山本周五郎にはまったことが合った。その後あらかた実家の方に預けていたのだが、母が本を整理したいというのでまた引き取ってきた。「日日平安」は「なんか椿三十郎に似てるな」と思ったら、後から思いっきり原作であること知った(…

ハリポタのDVDのはしご

ハリポタのDVDをすべてはしごしてしまった(自爆)そうなると原作も初めから読みたくなるではないかっ。

「赤毛のアン」シリーズ、登場人物のその後の年齢と世界史との対応表

仮に「赤毛のアン」シリーズが書き続けられたら、時代背景はどうなっていただろう、と思いつき、登場人物のその後の年齢と世界史との対応表を作ってみた。で、戦争との関連は以下の通り。第二次世界大戦勃発時で、ギルバート76歳、アン73歳、長男ジェム46歳…

ハリー・ポッターシリーズ

先日映画の最新作を見たので、その原作を再読しはじめた(「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」以降)以前から邦訳についての問題点が指摘されているのを小耳に挟んでいるので、割り引いて読むようにはしているが、最終巻が待ちきれないので原書を買って挑…

エーリヒ・ケストナー

「ふたりのロッテ」はいつかちゃんと読みたいと思っていた。「エーミールと探偵たち」「点子ちゃんとアントン」「飛ぶ教室」タイトルだけはちゃんと知っていた。しかしである!これら全てが同じ作者だと言うことを今の今まで知らなかったのである!ああ!な…

闇の女王にささげる歌(1978)

ローズマリー・サトクリフ 物語は悲惨だが、子供向けということもあり、王家付の竪琴師が語るという形式にして、ワンクッションおくことで、大分悲惨さが緩和されているのが救いだし、サトクリフのうまいところ。でも、ケルトの誇りと侵略者の理不尽は充分に…

アボンリーへの道

カナダで製作された、一応モンゴメリーの「ストーリー・ガール」シリーズの映像化作品。「赤毛のアン」とは関係ないのかと思っていたので、衛星に入ったりしても食指は動かなかったのだが、アンシリーズと世界を共有、かつ「アンの友達」「アンをめぐる人々…

Boudica, Queen of the Iceni(2006)

Joseph E. Roesch という小説を見つけた。 ttp://www.boudica-roesch.com/ 邦訳は出なさそうだな。サトクリフの「闇の女王にささげる歌」も、ブーディカが日本で馴染みが無いと言う理由で、出ない可能性が高かったようだし。