Only Yesterday(1975)

Carpenters
"Horizon"(1975)より
カーペンターズは普通に好きであるが、アルバムを揃えるというほどではなく、随分前に"Yesterday Once More"というタイトルの2枚組みのベストを買っていた。しかしそれを聴いていると、どうしてもいんずくなる(方言)のが「オンリー・イエスタデイ」である。
この曲はリアルタイムに聴いていた曲で、シングルを買った程思い入れがある。よく「イエスタデイ・ワンスモア」の二番煎じなどと言われ、正当な評価が与えられていないような気がするが、コードの使い方や展開、リチャードの裏メロコーラス、アレンジ等、実によくできた曲だと思っている。ネット上でもかなり評価が割れているようだが、私の中では断然カーペンターズのベストワンだ。(リチャードも自信作といっているとか)
ところが、このベストに入っているバージョンは、ラストのサビの後の転調後、すぐにフェイド・アウトしてしまうのだ。確か私が聴いていたシングルでは、転調後もサビがあって、もうひとアイデアあったような気がする。もしかして、シングルのみ長くて、アルバムバージョンは短いのかとも思って、ネットでなんとか調べてみたら、いろいろなベストに入っているバージョンは、3:46 3:47 3:50 3:58 3:59 などとけっこうばらつきがある。そして"Horizon"に収録されているバージョンは 4:12 となっているではないか!ということは、オリジナルはアルバムもシングルもロングバージョンであった!(しかし、サビの繰り返しだからと言って、フェイドアウトまでの時間が違うバージョンが、こんなにいくつもあるってのは、ちょっと問題ではないか?、3:46 3:47が同一、3:58 3:59も同一としても3種類あることになるぞ)
私の知る限り、ネット上でこの問題について取り上げられたのを見た事が無い。ベストの"Yesterday Once More"はリチャードが編集したのだから、問題にするに足らないという事なのかもしれないが、釈然としないな。
で、今回"Horizon"を買って聴いてみる。
転調前と転調後の違いは2点
1."Tomorrow"の"To"が四分音符だったのが、頭に八分休符を入れて八分音符になっている。
2.サビ直後のリチャードの下降音階の"Only Yesterday"のフレーズが転調を導いていたが、転調後は転調を導かないフレーズに変っている。
もうひとアイデアと言うほどでもなかったが、ロングバージョンを最後まで聴いてはじめて私の中で"Only Yesterday"と言う曲が完結するのだということを改めて思い出した。一度これを聴いたら、ベストのショート・バージョンはやはりいんずい!
ちなみに、歌詞は大変希望に満ちた素晴らしい内容なのだが、当時カレンに既に拒食症の症状が出始めていた事をあわせて考えると、なんか切なくなってくる。