小説

「剣客商売」の「春の嵐」小説と漫画

「剣客商売」の「春の嵐」小説と漫画「剣客商売」の初の長編「春の嵐」であるが、最初は大島やすいちの漫画版で読んだ。短編二つを同時進行させたような内容で、せいぜい中編止まりで、長編にするまでの内容かな?と、との時は思った。しかし池波正太郎の原…

「剣客商売」小説と漫画

「剣客商売」小説と漫画毎度の事ながら「剣客商売」を読んでいる。池波正太郎の小説は順番に読んでいるのだが、大島やすいちの漫画版は、入手順序がばらばらだったので、作品によっては小説版が先だったり、漫画版が先だったりする。気に入った作品は、小説…

「剣客商売」の三冬

「剣客商売」の三冬三冬目当てで「剣客商売」を読んでいるのだが・・・・これは、昭和の男目線で書かれた時代小説である。それはわかっているのだが。男には目もくれぬ、剣一筋の女剣士三冬が、徐々に恋愛や性(意識として)に目覚めていくさまが、現在のフ…

「剣客商売」とそのドラマについて

池波正太郎「女武芸者」(剣客商売)池波正太郎の「剣客商売」を読み始めているが、その第1作の短編「女武芸者」ですっかりもっていかれてしまった。シリーズの全貌が見渡せるような要素をすべて詰め込み、かつどんどん次を読みたいと思わせる、シリーズ第…

「剣客商売」について

「剣客商売」についていわゆる時代小説は、伝奇的要素があるものかミステリー要素のあるもの以外、ほとんど読んでこなかった(山本周五郎という例外はあるが)なので、池波正太郎という作家にも全く興味がなかった。たまたま、最近コンビニ本で大島やすいち…

清心尼(南部祢々(弥々)(寧々))の小説

清心尼(南部祢々(弥々)(寧々))の小説以前、南部氏について簡単に書いた事があったがhttp://hakuasin.hatenablog.com/entry/20091012/p5例の「九戸政実の乱」の時の藩主、南部信直の嫡子利直の姉が、根城南部氏の直栄に嫁いで生まれたのが祢々であり、…

モンゴメリ「アンの想い出の日々」

モンゴメリ「アンの想い出の日々」書店で見つけてびっくりした。こんなものが出ていたとは!解説によると、以前書いた「アンの村の日々」http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2008/05/15のオリジナル版ということで、「アンの村の日々」は、元の原稿から…

コナン・ドイル「陸の海賊―ドイル傑作集4」

コナン・ドイル「陸の海賊―ドイル傑作集4」こちらは「冒険・スポーツ・歴史篇」と銘打たれている。今までのようにミステリーや怪奇ではないので、個人的にはどうかな、と思ったが、思いのほか面白い。(ボクサーの幽霊譚まであった(笑))しかし、考えてみ…

コナン・ドイル「クルンバーの謎―ドイル傑作集3」

コナン・ドイル「クルンバーの謎―ドイル傑作集3」これまでも1巻の「ジェレミー伯父の家」等、東洋にからむドイル作品はあったが、これは特に東洋関連の作品を集めたもの(1作のみケルト)ほとんと長編と言っていい「クルンバーの謎」が過半数のページを占…

コナン・ドイル「北極星号の船長―ドイル傑作集2」

コナン・ドイル「北極星号の船長―ドイル傑作集2」創元推理文庫版のドイル傑作集2である 怪奇小説編ということもあり、「大空の恐怖」「北極星号の船長(ポールスター号船長)」「樽工場の怪(たる工場の怪)」「青の洞窟の怪」「革の漏斗」が新潮社版と重複…

ドイル傑作集 2 3 と漫画で得た知識

コナン・ドイル「ドイル傑作集 2 海洋奇談編 」「ドイル傑作集 3 恐怖編」いちいち作品は挙げないが、さすがにドイルだけあって、面白く読み応えのある作品揃いである。前述のとおり、新潮社文庫だが、数年前に創元推理文庫が別編集のドイル傑作集を全5巻が…

新春ワイド時代劇「影武者徳川家康」

新春ワイド時代劇「影武者徳川家康」1998年に一度ドラマ化された隆慶一郎氏の「影武者徳川家康」http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20051015/p2が、テレビ東京恒例の正月時代劇で再度ドラマ化されることは知っていたが、いかんせんこちらでは入らないの…

アンのゆりかご

アンのゆりかご(村岡花子の生涯)(2008)村岡恵理来年の朝ドラが、「赤毛のアン」の翻訳の草分け村岡花子の生涯を描く「花子とアン」との事で、モンゴメリー・ファンには気になるところ。ということで、お孫さんが書いた、その原作を読んでみる。寡聞なが…

剣吉城

剣吉城剣吉城というのは、南部信直の懐刀、北信愛の居城だった。http://zyousai.sakura.ne.jp/mysite1/nanbu/kenyosi.html高橋克彦さん「天を衝く」は、九戸政実VS南部信直の図式のため、信愛はいわば敵役である。なので剣吉城にはあまり思い入れがなかた…

高橋克彦「東北・蝦夷の魂」と「岩手県謎解き散歩」の野村胡堂の名前の由来

「東北・蝦夷の魂」高橋克彦最近、また蝦夷関連を読んでいたら、ちゃんと高橋さんの本が今年3月に出ていた。まさにシンクロニシティーである。「高橋克彦入門」「高橋克彦史観入門」そして「東北入門」としても最適なので、東北人のみならず、日本全国通津…

火怨・北の英雄 アテルイ伝

火怨・北の英雄 アテルイ伝再び蝦夷関連を読んだりしているので、以前録画していたものをやっと見た。元々は全4回(NHKのBS時代劇 2013年1月11日~2月1日)で、その後NHK総合テレビで全2回に再編集(3月23・30日)して放送。話もよくできていて大変に面白…

横山 まさみち「奥州藤原四代」

横山 まさみち「奥州藤原四代」今東光氏の「蒼き蝦夷の血」を原作とする漫画である。先日最終巻である第3巻がえらく高値が付いていると書いたがhttp://hakuasin.hatenablog.com/entry/2013/05/13/044506第1巻のユーズドをあらためてちゃんと見てみたら「全…

今東光「蒼き蝦夷の血 秀衡の巻」

今東光「蒼き蝦夷の血 秀衡の巻」清衡の巻、基衡の巻は雑誌連載だったが、秀衡の巻は描き下ろし、ということで今東光氏はじっくりと描き、前2巻を足したよりも長いページ数を割いている。今東光氏は、どれだけ古文書や伝説に精通しているのか、と驚くばかり…

今東光「蒼き蝦夷の血 基衡の巻」

今東光「蒼き蝦夷の血 基衡の巻」以前にも書いたがhttp://hakuasin.hatenablog.com/entries/2013/05/13基衡と妾腹の兄、小館惟常との跡目争いで幕を開ける。思うのだが、奥州藤原氏の基礎を築き、大往生を遂げた清衡ともあろう人が、なぜ生前にこの問題をき…

今東光「蒼き蝦夷の血 清衡の巻」

今東光「蒼き蝦夷の血 清衡の巻」というわけでhttp://hakuasin.hatenablog.com/entries/2013/05/13今東光「蒼き蝦夷の血 清衡の巻」を読む。最初の3分の1弱が前九年の役、次の3分の1弱が後三年の役、残りの3分の1強がその後の清衡、という構成。清衡の…

藤原基衡と「蒼き蝦夷の血」

藤原基衡と「蒼き蝦夷の血」奥州藤原氏については、何と言っても義経に絡む秀衡と泰衡が一般的には有名で、さまざまな作品に登場する。次いでは初代の清衡、そして「炎立つ」で一躍脚光を浴びた0代(初代の前だから)の経清であるが、二代目の基衡は影が薄…

高橋克彦「天を衝く」(九戸政実の乱)と近隣の城跡

久々に高橋克彦さんの「天を衝く」を読んだ。以前、弟と櫛引城跡を探した話を書いたがhttp://d.hatena.ne.jp/hakuasin/20101211http://d.hatena.ne.jp/hakuasin/20101212http://d.hatena.ne.jp/hakuasin/20110103九戸政実の乱は、九戸政実に同調した櫛引城城…

中津文彦「風の浄土」

風の浄土(2011)中津文彦中津文彦最後の「義経&蝦夷」小説である。第1章は、少年義経が鞍馬山から平泉へたどり着くまで、第2章は、遡って後三年の役後の藤原清衡が奥州藤原四代の礎を築くまで、第3、4章は、鎌倉に追われて義経が平泉へ戻ってから奥州…

「天を衝く」と「炎立つ」

「天を衝く」と「炎立つ」高橋克彦先日の「風の陣」の最終巻を読んでから「火怨」「炎立つ」と再読を始めて「天を衝く」まで来たのだが、九戸政実が比内で戦った相手が、藤原泰衡に比内までともに落ち延びて、藤原の姓を授かった武士団というのが、出てくる…

風の陣 裂心篇

風の陣 裂心篇(文庫化 2012)高橋克彦油断をしていたら、高橋克彦さんの作品がけっこう文庫化されていた(その5)最終巻の裂心篇は、シリーズ終わりにしては最後が・・・・というネット上の意見があるが、以前にも書いたし、ファンならとっくにご存じだが…

風の陣 風雲篇

風の陣 風雲篇(文庫化 2010)高橋克彦油断をしていたら、高橋克彦さんの作品がけっこう文庫化されていた(その4)以前「風の陣」について書いたのが、もう5年も前である。(こちらとこちら)実は最終巻の裂心篇を買って、なんか様子が違うと思ったら、そ…

ドールズ 月下天使

ドールズ 月下天使 (文庫化 2011)高橋克彦油断をしていたら、高橋克彦さんの作品がけっこう文庫化されていた(汗)ドールズ・シリーズ最新作は賛否両論である。スタイルが変わったので元の路線に戻せ、ということらしいが、元々このシリーズ、作品ごとにスタ…

かるいお姫さま

かるいお姫さまジョージ・マクドナルド生れた時に魔女に呪いをかけられる、という「眠りの森の美女」を踏襲した導入部であるが、体の重みが無くなるだけではなく、頭の中身の重さ、心の中身の重さも無くなってしまうのがミソか。前半のお姫さまのはじけっぷ…

カーディとお姫さまの物語

カーディとお姫さまの物語ジョージ・マクドナルド「お姫さまとゴブリンの物語」(こちら)の続編である。時系列的には前作の1年後であるが、執筆されたのは十数年後ということで、読んだ印象は大分違う。こちらは若干理屈っぽくお説教臭いが、哲学的になか…

お姫さまとゴブリンの物語

お姫さまとゴブリンの物語ジョージ・マクドナルドというわけで(こちら)読み終わる。ファンタジーとはこういうものだ、と思い知らされた。これでファンタジーに対する見方が変わったな。どういうことか、説明しようと思ったが難しい。詩人W・H・オーデンが…