ヴェルディ「運命の力」

レヴァイン指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団(1984)
レオンタイン・プライス:レオノーラ
ジュゼッペ・ジャコミーニ:ドン・アルヴァーロ
レオ・ヌッチ:ドン・カルロ
ボナルド・ジャイオッティ:グァルディアーノ神父
イゾラ・ジョーンズ:プレツィオシッラ

「運命の力」の映像も見ておきたかったが、たまたまデアゴスティーニ・オペラで出ていたので買っておいたものをやっとみた。
とにかく映像で、と言う事で買ったので期待はしていなかったのだが、いい意味で裏切られた。
レオンタイン・プライスは名前は知っていてもちゃんと見聴きするのは初めてで、容姿も声も歌い方も、全く好みではないのだが、名歌手はこっちの好みなど突き破ってしまうのだ、と言う事がよくわかった。
ヌッチは勿論、商業ベースに乗ることを嫌っていたため知る人ぞ知る存在だったジャコミーニも、黒人とインディアンのハーフのメゾ、ジョーンズも、往年の名バスジャイオッティも素晴らしく、指揮のレヴァインも(個人的には好きではないのだが)私が知っているレヴァインの演奏の中では最上のの部類に入る。DVDによるオペラは、どこかしら文句を付けたくなるものだが、この映像はほとんど穴がない。「運命の力」の入門としては最適であろう。
以前書いたが(こちら)初演版では主人公は神を呪い崖から身を投げるが、その後その場面は改訂されカットされた。しかし、近年は初演版の上演もあるようだ。
「神への呪い」をカトリック国スペインによるインカ帝国への理不尽な侵略、と捉えるなら、この部分はカットしないほうがいい気がする。なので初演版もいつか聴いてみたいものだ。
最後に一言、音楽的には横綱相撲のこのオペラだが、映像で見ると、ストーリーと無関係の部分を削って、すっきりさせるわけにはいかなかったんだろうか・・・・等と思ってしまう。