ちあきなおみ全曲集

ちあきなおみ
思えばレコードなどと縁の無かった父が、なぜか島倉千代子ちあきなおみだけは持っていた。今考えるとセンスがいいではないか。
何年か前に志村けんが「夜へ急ぐ人」をネタにしていた。その時まではその曲を知らず、びっくりしたものだ。(この曲が出た頃、高校3年間は諸事情でテレビなしの下宿暮らしだった。伝説のパフォーマンスも知らない。見たい!)で今回思い立ってベストを購入。前にも書いたが、子供の頃さんざんテレビで見た歌手は、実際にレコードを聴くと歌い方がおとなしいのでちょっと物足りなかったりする「四つのお願い」は曲調に合わせてかわいらしく歌っているが、テレビで覚えているのはあの濃〜い歌い方。
作詞 吉田旺 作曲 中村泰士の4曲は、当時ほんとに新しいセンスだった中村と、ちあきなおみの演歌寸前の濃い歌い方のミスマッチ加減が絶大な効果をあげていてやはり傑作(喝采、劇場など)
この後、徐々に演歌に移行するが、「矢切の渡し」までは普通の演歌なため彼女の異形さが生かされていない(こぶし加減とかピッタリはまりすぎるきらいがある)中島みゆきの「ルージュ」は異色作、で問題の「夜へ急ぐ人
やはりこれは異形の曲を異形の天才歌手が歌っている恐ろしい曲だ。作者の友川かずきは歌手としてはほとんど知らないが、なんという歌詞の世界だろう。また「おいでおいで」のメロディと歌い方。ラストの唐突なメロディの上昇。間に語りまで入る。これはもうホラーの世界だ。うーんすごすぎる。カムバックはしないんだろうな。もったいない。