スライ&ザ・ファミリー・ストーン「暴動」"There's a Riot Goin' On"(1971)

契約上の締め切りに追われ、麻薬に苦しみながらスライがスタジオにこもり、ほぼ一人でレコーディングした作品。各メンバーやゲスト(なんと、ビリー・プレストンもいる!)が必要に応じて個別に召集されオーバーダブをしている。
本来の担当楽器でない楽器を演奏している、ということで、若干のギクシャク感はあるが、それはそれで、独自のグルーヴを形成している。何よりも、スライのやりたいことが直截的に表現されているし、担当楽器のプレイヤーでは出てこないような斬新なプレイがあったりして、結果的にプログレッシヴ・ソウルと言った趣きをもっている。
9分近い"Africa Talks to You 'The Asphalt Jungle'"は、僅かなコーラスがあるのみで、テンプテーションズの「マスター・ピース」の先取りのような仕上がり。そう言えば、テンプテーションズはスライ&ザ・ファミリー・ストーンの影響を受けているのであった。
前作までのバンドとしてのまとまりが無いのが寂しいが、それを補って余りある傑作であることは間違いない。