ディーリアス 歌劇「コアンガ」

ディーリアス 歌劇「コアンガ」
グローヴズ指揮 ロンドン交響楽団(1973)(ワーナー)
コアンガ:ユージーン・ホルムズ(バリトン
パルミラ:クラウディア・リンゼイ(ソプラノ)
ドン・ホセ・マルティネス:ライマンド・ヘンリンクス(バス)
サイモン・ペレス:キース・アーウェン(テナー)
クロティルダ:ジャン・アリスターコントラルト)
ラングワン:サイモン・エステス(バス)
ジョン・オールディス合唱団

「ラ・カリンダ」で有名な歌劇「コアンガ」であるが、内容を知ってびっくり。なんと黒人奴隷同士の悲恋なのだ!ガーシュインの「ポーギーとベス」(1935)よりはるか前に(1897)黒人が主役のオペラがあったとは!寡聞にして知らなかった。
南北戦争が終わったのが1865年とはいえ、当時こういう「ど直球」の黒人奴隷制度批判的なオペラがあったというのも驚きだが、当時の世界ではアメリカの奴隷制度に対する世論的なものはどうだったのだろう。
話の内容はそんな感じなのだが、音楽的には前期の作品ということもあろうが通常のオペラである。しかしとにかく美しい。非常に親しみやすく聴きやすい。なんでこんなに美しいオペラの録音が少ないのか(現在入手可能なのはこのグローヴズ盤のみ!)話の内容のせいなんだろうか。なんか腑に落ちない。
冒頭で書いた「ラ・カリンダ」であるが、今回オペラで聴いて管弦楽曲として演奏されている「ラ・カリンダ」は、実は独立した管弦楽曲ではなく、独唱と合唱の伴奏部分であることを知った。伴奏部分だけであんなに美しいのだ!それが主旋律(伴奏のメロディとは違う)が乗っかると美しさ倍増である。なんという曲である事か。